玄米を使った「びっくり炊き」という調理法をご存じですか?
びっくり炊きとは、秋田地方の伝統的な玄米の速炊き法です。
浸水しないで炊くため、玄米の自然な成分が健康に悪影響を及ぼすかもしれないという心配があります。
この記事では、
- 玄米のびっくり炊きが体に悪いとされる理由
- 玄米をおいしく炊く方法
- 鍋で玄米を炊く方法
を紹介します。
もくじ
玄米のびっくり炊きは体に悪い?
「びっくり炊き」という玄米の調理法に関する健康への影響について考えてみましょう。多くの人がこの調理法を健康に悪いと考えていますが、実はそこまで心配する必要はないのです。
では、なぜ「びっくり炊き」が体に悪いと思われがちなのでしょうか?
その主な理由は、アブシジン酸とフィチン酸という二つの成分にあります。
アブシジン酸とは?
アブシジン酸は植物が発芽を抑制するために使うホルモンです。
このアブシジン酸が人間の細胞内のミトコンドリアに影響を及ぼすとされ、これが体に悪影響を与えると言われています。
アブシジン酸と玄米との関連性について検討しましょう。アブシジン酸は玄米の発芽を抑止する成分で、玄米を発芽させることにより、その効力は中和されます。
このため、「びっくり炊き」で発芽させずにそのまま炊く方法では、アブシジン酸が体に悪影響を及ぼす可能性があるという指摘がされています。
しかし、アブシジン酸を含む食品は玄米だけではなく、含む量も微量です。それゆえ、内閣府食品安全委員会により、これは安全とされています。
この情報から、玄米のびっくり炊きが健康へのリスクをもたらす可能性は非常に低いと判断できます。
それでも不安を感じる方は、、12時間から36時間の間に浸水させて発芽させてから炊くことをおすすめします。季節により、浸水させる時間は変動することを念頭に置いてくださいね。
フィチン酸とは?
次はフィチン酸についてです。
フィチン酸という名の有機リン酸化合物が、鉄や亜鉛などの必須ミネラルと結びつき、それらの吸収を妨げる可能性があると言われています。
これにより、ミネラル不足が生じると理解されています。
特に、浸水せずに調理された「びっくり炊き」の玄米ご飯は、フィチン酸の量が減らないため、体に悪影響を及ぼすと一般的に考えられています。
しかし、この玄米に関する理解には、ちょっと間違いがります。
実は、玄米に含まれているのはフィチン酸ではなくフィチンという成分です。
フィチンはフィチン酸とミネラルが結合した形で存在し、体内で分解されることで初めてフィチン酸になります。
この過程において、フィチンは実はミネラルを体内に運搬する役割を果たし、ミネラルの吸収を助ける可能性があります。
言い換えれば、玄米がフィチン酸のせいで健康に悪いという通説は、実は誤解に過ぎないのです。
玄米は浸水なしでも炊ける
さて、玄米を炊くとき、通常は前もって水に浸しますよね。
これは、浸水させることで玄米が発芽する直前の状態になり、アブシジン酸という成分の毒性を低減するためです。
ですが、浸水せずに玄米を炊くこともできます。
この場合、アブシジン酸を含んだまま炊くことになりますが、これが直接健康に害を及ぼすわけではありません。
忙しい時に長時間水に浸すのが難しい場合は、「びっくり炊き」という方法が便利です。
この方法では、洗った玄米を玄米の1.2倍から1.5倍の水で炊きます。
手順は次のとおりです。
- 沸騰したら約15分間水が無くなるまで煮ます。
- 玄米がパチパチと音を立て始めたら、玄米の0.8倍から1.2倍の量の冷水を加えてよくかき混ぜ、もう一度煮立たせます。
- その後、10分から15分強火で煮て、その後10分程度弱火で炊き上げます。
- 火を止めてから10分から15分ほど蒸らせば、美味しい玄米ができあがります。
玄米を美味しく食べる炊き方は?
ダイエットや健康のためにも良いとされている玄米ですが、白米と比べると硬さやパサつきを感じる方もいるでしょう。
玄米をより味しく、ふんわりと炊き上げるコツは、やっぱり、しっかりと水に浸すことにあります。
手順はこちら↓↓
- まず玄米をきちんと量ったら、ザルやボウルにれて、表面についている汚れを丁寧に洗い流します。
玄米は白米のように研ぐ必要はありませんが、両手で優しくもみ洗いすると表面の糠が傷つき、水をより吸収しやすくなるんです。 - 次に、洗った玄米を炊飯器に移します。 このとき、1合の玄米に一つまみ程度の塩を入れると、水をよく吸うようになり、カリウムの苦味も和らげてくれるので、美味しく炊き上がります。
- 炊飯器を使う場合、玄米の量の1.6倍の水を入れて、6時間程度浸します。 さらに、冷蔵庫で24時間浸すと、よりふんわりとした玄米が炊けます。
もしも炊飯器に玄米炊きのコースがあるのなら、玄米の水位計に合わせた水を入れるだけでOK。特別に浸す時間は必要ありません。
玄米の浸水時間をできるだけ短くするには?
玄米の浸水時間を短くしたい場合、40℃のぬるま湯で浸すと、通常の半分の時間で十分な吸水ができます。
炊く時には、この浸水した水は捨てて、新たに玄米の1.1倍から1.2倍の水を加えて炊きます。
鍋で玄米を炊く方法
鍋で玄米を炊く場合の手順は次のとおりです。
- 水に浸した玄米と1.1倍から1.2倍の水を入れ、中火にかけます。
- 水が沸騰したら弱火にし、約30分間炊きます。チリチリという音がするのが炊き上がりのサインです。
- その後、強火で10秒間加熱して水分を飛ばし、火を止めて20分間蒸らせば、玄米が完成します。
玄米なら圧力鍋がおすすめ
よりふっくらとした玄米を炊くには圧力鍋がおすすめです。
圧力鍋を使用する場合、強火で重りが動き始めたら1分間炊き、その後弱火で20分間炊き続けます。
最後に30秒ほど強火で加熱して水分を飛ばし、圧力が下がるまで待てば、美味しい玄米が出来上がります。
まとめ「玄米のびっくり炊きが体に悪い」はウソ!
「玄米のびっくり炊きが体に悪い」という考えは誤解です。
いわゆる「玄米の驚異的な調理法」が健康に悪いと主張されることがありますが、それは違います。
アブシジン酸といういわゆる「玄米毒」の量は、健康に害を及ぼすほど含まれていません。
また、フィチン酸の存在も誤解であり、フィチンがあっても体に影響はないのです。
もし、もっともちもちとした玄米の食感を好むなら、しっかりと水に浸けてから炊くと良いでしょう。
びっくり炊きの方法では、面倒な浸水手順は必要ありません。
さらに水に短時間で浸したい場合は、ぬるま湯を使うと効果的です。
健康志向の高まりから注目を集めている玄米。その美味しくて健康的な食事を楽みましょう!
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