「数検」この単語を聞いたことはありますか?
「英検」は一度は耳にしたことがあるでしょうが、「数検」は何なのだろう?と思う方も少なくないかもしれません。
この数検は文部省認定の数学能力検定です。しかし、数検を受験しても意味がないと考える人もいます。
なぜ、数検に意味がないと感じるのでしょうか?
この記事では、数検に意味がないという意見や、試験に有利になる可能性のある数検について、詳しく検証していきます。
数検は意味ない?ある?
本当に「数検が意味ない」と言われているのは事実なのでしょうか?
数検とは、5級から1級までを含む全11級の数学技術に関する試験のことを指します。
その歴史は1990年に始まり、1999年には文部科学省に認められた日本数学検定協会に名前が変わりました。
国の試験として認可されている数検ですが、それにもかかわらず、「意味がない」と感じている人がいるとはどういうことでしょう?
実は、数検の資格は、受験や就職活動において有利となることもあります。
と思うかもしれません。
しかし、すべての人がそう感じるわけではありません。
特に理系以外の学部に進む予定の人からすると、「数検は意味ない」と感じるかもしれませんね。
ただ、考えようによっては、3級以上の数検を取得していると入学試験などで優遇措置があるため、持っているだけで損はありません。
また、転職の際には、あなたが優れた業務能力を持っていると見なされる可能性があるのです。
そう考えると、長期的な視点から見れば、数検を受験する意味やメリットはあると言えます。
数検について
数検について解説しますね。
数検は、公益財団法人日本数学検定協会が行っている「実用数学技能検定」のことを指します。
この検定には二つの部門が存在します。
11級から6級までの部門は、算数の知識を問うもので、「算数検定」と呼ばれます。
一方、5級から1級までの部門は「数学検定」または「数検」と称されています。
5級から1級までのレベルは中学校一年生から大学生、あるいは社会人までが対象です。
数検5級から1級までは、2段階の試験方式。
1次試験では計算に関する技能が試され、全体の問題の約70%を正答することが合格基準です。
2次試験では数理に関する技能が問われ、全体の問題の約60%を正答することで合格となります。
数検のレベル
数検各級のレベルを総括すると以下のようになります。
- 数検1級: 大学レベル
- 数検準1級: 高校3年生レベル(数学Ⅲ)
- 数検2級: 高校2年生レベル(数学ⅡB)
- 数検準2級: 高校1年生レベル(数学ⅠA)
- 数検3級: 中学3年レベル
- 数検4級: 中学2年レベル
- 数検5級: 中学1年レベル
試験形式と受験要領
数検の試験形式は、マーク式ではなく記述式です。
そのため、適当な解答では得点にならず、自分の実力が直接試されます。
また、受ける場所は個人受験、提携会場受験、団体受験の3つから選択できます。
個人受験は年3回、提携会場受験は年12回、団体受験は学校や団体が決めた日程で行われます。
詳しい情報は公益財団法人 日本数学検定協会の公式サイトで確認できます。
その他に、年に一度、成績優秀者に対して文部科学省の賞や文部科学大臣賞が授与されます。
このように、数検は真の実力が試され、意味のない成果は得られません。
数検はどうやって学習する?
数検に挑戦しようと考えているけれど、どう学習に取り組むべきか困っていませんか?
そこで、数検準備のための効果的な学習法をご紹介します。
試験は特定の学年で習う内容を中心に設計されているため、数学の授業をきちんと受け、復習・予習を行うだけで、数検対策につながりますよ。
さらに、過去問題や参考書も出版されており、これらも併せて活用するとより効果的です。
ただし、級が上がるごとに見て取れる通り、合格率は減少の傾向にあります。
これは試験の難しさが増していることを示しています。
発表されている2022年度の合格率を一緒に見てみましょう。
目指す級に応じて、下記のレベル表を参照してください。
2022年度の合格率
- 1級/11.6%
- 準1級/25.8%
- 2級/31.5%
- 準2級/42.4%
- 3級/66.9%
- 4級/71.6%
- 5級/70.6%
上記表を見れば分かりますが、級が上がるごとに合格率は下がっています。
しかし、数検に合格するのは不可能なことではありません。
基本的な公式をしっかりと理解し、適切に使いこなせるようになることが、合格への近道となります。
教科書に出てくる計算問題や過去問題を繰り返し解くことで、応用問題が出てきたときでも、どの公式を用いるべきか理解することができます。
数検合格への近道は、基本知識をしっかりと理解することが重要です。
その基礎をしっかりと身につけて、数検合格を目指しましょう!
数検を受ける意味はある
数検に対する評価が分かれている理由の一つは、受験する学校それぞれが数検をどう考えているかによるものです。
目指す学校が数検の評価を行っていない場合、数検を取得しても有利に働かないという意見もあるわけです。
だからといって、入試において数検を評価し、それなりの優遇措置を採用している中学校、高校、大学も少なくありません。
それに、特定の科目の単位取得に数検を繋げている大学や短期大学、専門学校なども存在します。
これらの事例を見ると、「数検は意味ない」とは一概には言えないように思います。
これらの学校を目指すことで、数検の取得が無意味でないことを証明し、受験を有利に進められるでしょう。
また、数学への自信をより具体的に証明したいのであれば、
- 「高校への数学」
- 「大学への数学」
- 「数学オリンピック」
などへの挑戦も考えてみてはどうでしょう?
高校への数学
「高校への数学」とは、東京出版社が毎月発行している教科書です。
これは中学で学んだ数学を通年で網羅し、数学の魅力を満喫しながら高校入試に備えるための計算力や思考力を鍛え上げる教材です。
内容は4月号からスタートし、翌年の3月号で一巡します。
前半戦となる4月から9月の号では、基本的な問題から標準レベルの問題を揃え、中学数学の全範囲を学習します。
その後の10月から3月の号では、厳しい高校入試にも対応できるように難易度の高い問題を取り上げて行く構成になっています。
一年間で必要な要点が詰まった全12冊で、高校受験に必要な項目を全て理解することができるので、 間違いなく、受験準備には大いに役立つ教材です。
大学への数学
「大学への数学」は、東京出版社から発行される月刊誌で、1年間を通じて高校数学の復習と基礎強化に励み、応用問題への対応力を身につけることが目指されています。
これにより、ユーザーのレベルを引き上げ、名門大学の受験にも対応できる実力を身につけることが可能です。
各問題には難易度と目標時間が明記されており、合格レベル達成の目安を把握しやすい形となっています。
さらに、学力コンテストも実施しており、自己のスキルを試す意味でも、「大学への数検」を手に入れるのは意味ないとは言えません。
学力コンテストは添削がついており、間違えた箇所をより良く理解することができます。 さらに、成績優秀者の名前は冊子に掲載され、これが学習のモチベーション向上に繋がります。
数学オリンピック
数学オリンピックには2種類の大会が存在します。 それらは、
- 「日本数学オリンピック(JMO)」
- 「国際数学オリンピック(IMO)」
のふたつです。
日本数学オリンピックでは、日本国内で予選が行われ、その結果上位6名が選ばれ、この選出された者たちが国際数学オリンピックに日本代表として参戦します。
これは各国の高校生以下の年齢層で、算数や数学に興味がある生徒たちが参加するもの。
才能開発のチャンスとなるコンテストともいえるでしょう。
各参加国が順番に数学オリンピックを主催しています。
日本数学オリンピックで6名が選ばれるまでの選考では、毎年1月に予選が行われます。
2月に決勝戦が開催され、そして3月には代表選考の合宿を経て、これらの結果を基に最終的な選手が選ばれます。
数検は就職や転職に意味ある?ない?
「数検って就職や転職に意味がないの?」
と聞かれたら、中には「履歴書に書いてもあまり役に立たない」という人もいます。
でも、そうとは限らないんですよ。
特に、数学の先生や塾の先生みたいな数学に関係する仕事を探すときには、数検が役に立つかもしれません。
だから、「持っていても無駄」と決めつけるのはちょっと早いんです。
それに、就職活動をするときに、SPIという試験を受ける人がいますね。
このSPI試験は、どんな能力があるかを見るためのテストで、この中には数学の問題も出ます。
実は、この数学の部分が苦手な人が7割もいるとのこと。
だから、数学が得意なら、この試験で差をつけることができるかもしれません。
しかも、簿記を勉強している人にも、数検は役立つことがあります。だから、数検を持っていると、勉強にも役立つということですね。
数検を受けるなら、1級や準1級に合格するのを目指してみましょう。
そうすると、「数検は役に立たない」と思っていた気持ちが変わって、自信につながるかもしれません。
就職や転職だけでなく、数学の力を伸ばしたい、自分の数学の力を証明したいと思うなら、数検の勉強を始めるのもいい選択ですよ。
まとめ
数検は、文部科学省が認可した公式の試験で、3級以上の認定を受けた場合、受験に際して特別な待遇を受けることができます。
しかし、理系の進学を考えていない人々にとっては、数検は意味ないとの考え方もある一方で、一度取得すれば、就職や転職時に高い事務能力が評価され、SPI試験にも有利となるというメリットもあります。
これから受験を迎える人は3級以上獲得を、就職や転職を考えている人は1級や準1級の取得を目指してみてはいかがでしょうか。
数検を受けることが意味ないということはありません。
数学力を身につけることができる数検、是非チャレンジしてみてください。
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